第50回
シナモン風味のいとこ煮
缶詰の茹で小豆を使って30分以内で作るかぼちゃのお惣菜。おやつに食べてもおいしい!
シナモンパウダー入りのいとこ煮は新鮮な味わいで、冷たくしてもおいしい。和食、洋食、おやつを問わない一品です。
小豆とかぼちゃ
小豆とかぼちゃの煮物を「いとこ煮」といいます。呼び名の由来は、畑で採れる豆と野菜はいとこのようなものだからという説や、煮えにくい食材からおいおい(=甥々)、めいめい(=姪々)煮るという説などがあるそうです。小豆とかぼちゃの共通点は、シナモンと合わせると相性がいいということ。和菓子では昔から小豆餡に肉桂(シナモン)を合わせるのが定番です。パンプキンパイにはシナモンが付き物。シナモン入りのいとこ煮はグッと用途が広がります。
シナモン風味が決め手
かぼちゃのおいしい季節です。ぜひ作ってみてください。材料はいとこ煮の5つの材料に、シナモンパウダーを加えた6つだけ。茹で小豆の缶詰は微糖のものを使っています。無糖の場合は煮込むタイミングで、味見をしてみて甘さが足りないようなら砂糖を少々加えてください。
シナモンパウダーはお好みで加減する。
材料(作りやすい分量)
種を外したかぼちゃ 350g塩 ふたつまみ
*A
茹で小豆(缶詰) 150g
みりん 大さじ1
醤油 小さじ2
シナモンパウダー 小さじ1/4~1/3
1 かぼちゃの種を外して、2cm角程度に切り分ける。
あとは煮るだけ
さあ、かぼちゃを切り分けたら、煮ていきます。
2 鍋に1のかぼちゃを入れ、水をひたひたに注ぎ、塩を振る。弱めの中火にかける。
3 水が沸騰したら、蓋をして少し火を弱めて10分を目安に煮る。
4 竹串を刺してスッと通れば火を止める。水位が1cm弱になるように余分な水を捨てる。
4 竹串を刺してスッと通れば火を止める。水位が1cm弱になるように余分な水を捨てる。
5 4にAを加えて、再度中火にかける。へらで混ぜながらぐつぐつ沸騰するまで火を通す。
6 煮汁がとろりとしたら火から下ろし、器に盛る。
食べ方いろいろ
いとこ煮にシナモンの風味を付けると、インドの野菜の煮込み料理「ザブジ」風にも味わえます。カレーの付け合わせにぴったり。それから、温め直してお餅や白玉を添えれば、即席のおぜんざいになります。冷蔵庫で冷たくしたらバニラアイスや寒天を添えてみてください。どこか懐かしい甘味屋さんのメニューみたいですごくおいしい。
器に盛り付けたところ。
冷たいいとこ煮は、アイスクリームに添えてもおいしい。
福田 里香(ふくだ・りか)さん
菓子研究家。武蔵野美術大学出身。フルーツの専門店で勤めたのち、独立。果物を使ったオリジナリティあふれるスイーツや料理で注目を集める。雑誌でフードコラムを担当しながら、『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)『新しいサラダ』(KADOKAWA)『R先生のおやつ』(文芸春秋)など料理本を多数出版。漫画への造詣も深く、作品に登場する食べ物の表現への考察は漫画ファンのみならず、漫画家からの評価も高い。美しい料理を次々とアップするInstagramにはおいしいもの好きが集う。2024年1月、文春文庫から『物語をおいしく読み解く フード理論とステレオタイプ50』が発売。